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働きがい改革セミナー①(基調講演)

今回は2019年2月初旬に実施された「働きがい改革セミナー」の様子をお伝えします。
セミナーは二部構成で、 第一部の基調講演では『未来への夢と感動にチャレンジ』と題し、株式会社 松本山雅 神田 文之様に講演を戴きました。
第二部のセミナーでは『働き甲斐改革を成功に導くために』と題し、行政書士 友渕事務所 代表 友渕 大 様に講演を戴き、
弊社からも『"働きがい改革"への取り組み』と題し、3名が講演をさせて戴きました。

  1. 第一部 基調講演:『未来への夢と感動にチャレンジ』
    講師:株式会社 松本山雅 神田 文之 氏
  2. 第二部 セミナー①:『働き甲斐改革を成功に導くために』
    講師:行政書士 友渕事務所 代表 友渕 大 氏
  3. 第二部 セミナー②:『ネクストリンクスの"働きがい改革"への取り組み』
    講師:ネクストリンクス株式会社
■はじめに
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本日お話する内容は、クラブ内で働く人間に対し全て共有してカッチリ型を作って進めているという内容ではありません。
少しずつ人を巻き込みながら、共感して貰える内容だったら皆で作っていこうと言う趣旨で試行錯誤している部分です。
クラブの夢と共にクラブ自身がどういった事を考えているのか、松本山雅という企業の経営を通して私自身が日々考えている事、 実践しながらも、まだ勉強中だというところをお話させて戴ければと思っております。
『未来への夢と感動にチャレンジ』は株式会社松本山雅の企業理念になります。
一番大きな部分で、スポーツクラブはいずれも同じような理念を抱いていると思いますが、形が無い物、具体性の無い企業理念も実際ありました。 私が入社した時点で、企業としても地域にとっても松本山雅の存在は確たる物が出来つつありました。 過去を振り返りながら、これから先の未来への夢に繋げてゆく事が、私のクラブとの関わり方だと思いました。
■温故知新
私がクラブに来てまず私がやった事はこれ(温故知新)でした。
松本山雅には急成長したすばらしい歴史、地域の後押しがあって、何故このようになったのか?なかなか分らない部分もありました。
そこに目を向け、現状に満足するとそれ以上は無いという事で、ここにクラブの経営のポイントがあると今も考えています。
■コーポレートアイデンティティ
社内で考えている事を社外、世間にもしっかりお伝えして社内の人間も社外の人間も働く事が好きになる。
そのクラブ、その会社に関わる事が好きになるという考え方だと思っています。
「コーポレートアイデンティティ」という考え方は松本山雅のあるべき姿に適した考え方だと感じ今まさに取り組んでいます。
これが働いている社員にとってはひとつの働き甲斐になるのではないかと思っています。
ただ、松本山雅の場合は地域の皆さんから数多く応援して貰っているので普通の企業で言う働いていて満足感を得る場面は多いと思っています。 会社で働くことはもしかしたら苦しいことが多いのかも知れませんが 松本山雅で働いている人間はそれ以上に、嬉しい、ありがたいなと思う場面に直面する事が 非常に多いと思っていますので、それに対して謙虚に望めるかというのが1つ大きなポイントであると思っていますし、 私としては内部でいかに厳しくこのクラブを経営していくかというのは普通の企業とはまた違った苦労、向き合い方があって然るべきと思いながらいつも社員と向き合っています。
松本山雅FCが成長した理由
①クラブは誰の為に存在するかが明確に共有できた
サッカーという事業を通して地域を盛り上げたいという事がクラブの原点としてありました。現在も意識して経営をしております。
クラブのコンセプト、本質というのがリーグでの勝利だけを重きに置いていた訳では無く、まさに『未来への夢と感動にチャレンジ』しながら 地域の為になる事業をして行こうという想いがこの会社の根本にいつもあった事が、様々な方の応援を得られた理由だと思っています。
松本山雅FCが成長した理由
②ステークホルダーの貢献
松本山雅FCを取り巻く全てのステークホルダーが私利私欲無くクラブ・地域の為に貢献し続けてくれました。
まだ知名度が低い中、地域のスポンサー、後方支援して戴くボランティア、そして応援するサポーター、そういった形が徐々に広がっていって クラブの成長過程でサッカーと言う舞台で結果として現れだした。
スポンサー、ボランティア、サポーターの力が幸運をもたらす。クラブの成長はそういう方達のパワーによってもたらされたんじゃないかと客観的に振り返ってそう思っています。
松本山雅FCが成長した理由
③長野県にライバルのサッカーチームが存在した
当時はAC長野パルセイロさんが上位にいました。追い越せという地元の感情、サッカーでは負けないぞという気持ちなど、 色々な想いが松本山雅を応援するパワーとして結集した結果だと思っています。 やはりライバルの存在は1つの企業や、チームが強くなる為には重要だと思っています。
長野県にプロのサッカーチームが2つ出来たという事も10年前からするとまったく予想できなかった事です。
10年後がどうなるかという事に対してクラブがどんなチャレンジが出来るのかという事も非常に重要だと思っています。
松本山雅の成長とライバルの存在によって、サッカー文化が信州に根付き、長野県がサッカーで盛り上がって来ました。
そういった歴史が松本山雅にはあったと思います。
松本山雅というのはスポンサーさん、サポーターさん、ボランティアさんという土台があった上での活躍だったというのが、
このクラブの強さ、拡がった歴史だったと思っています。
■感動の共有
神田社長の「J2優勝という場面も地域の皆さんと共に共有できました。嬉しい映像なので皆さんにも見て戴ければと思います。」というお言葉の後、 スクリーンに松本山雅のJ2リーグ優勝シーンの映像が映し出されました。
松本山雅サポーターも多かった会場で、皆さん嬉しそうにスクリーンを見つめていらっしゃいました。
昨年の最終戦、サポーターと共に優勝を喜び合った映像です。 満員のスタジアムに大勢のサポーターに囲まれて、このような瞬間を共有できたというのは松本山雅の新しい歴史の1ページになりました。 こういった松本山雅の歴史を作れたという事は、例えばクラブで働く人間にとっては本当に大きなモチベーションでしかないと思っています。
一般企業でこういった表舞台を作れるかというと難しいものがあるのかなと思っています。 もしかしたら、松本山雅を応援して戴く企業さんには何処かで社内の一体感であったり、 従業員のモチベーションというのをこの松本山雅を通して期待して下さる部分があるのかなと思っていますし、 私達もお付き合いできる企業さんとはそういった温度感で、いっしょにクラブを作ってクラブの結果を一喜一憂し皆さんと共有させて戴きたい。 そういう願いを込めてこのクラブに向き合っているというのが今の現状です。
■J1で見えた景色
──J1で見えた景色というテーマで、株式会社松本山雅の収益という観点で、松本山雅の別の一面のお話も伺うことが出来ました。
2015年に初めて松本山雅はJ1に挑みました。収入で見ると当時、15位、サッカーの結果はでは16位となりました。
経営面でお話をさせて頂くと、私達がしなければならない事は効率的な経営をし、収入=リーグでの順位になる訳ではありませんので、先ずそこは目指す事。 そして、松本山雅は収入をどう増やしていこうとしているのか? 応援してくれる方にも、働いている社員達も、どういうクラブにして行くんだという方向性をしっかりお伝えする事が重要だと考えています。
2015年、誇らしい数字が1つありまして、平均収容率が日本一になりました。 スタジアムの収容人数に対してどれだけお客さんが入っているか?という数字が 80%を超えて日本で一番込み合っているスタジアムになりました。 6万人ではなく2万人のスタジアムですが、コンパクトなスタジアムに満員の人が入っていると熱狂空間という意味では非常に良い雰囲気が出ます。 6万人のスタジアムに2万人だとガラガラに見えたりしますので、劇場型のスタジアムを目指す上では平均収容率というのは凄く重要な部分だと思っています。
■次なる3つの大きな夢 松本山雅ドリームビジョン
松本山雅のプロジェクト発足時の夢がありまして、クラブ発足当時、アルウィンで試合してもあまりお客さんが集まりませんでした。
「アルウィンをお客さんでいっぱいにしよう!!」という事で、「アルウィンスポーツプロジェクト」と名づけ活動を始め、それが松本山雅の活動の原点になりました。
2015年、J1を経験し、日本一の収容率になって、ある意味では一定の成果、目標を達成できたのが2015年でした。
では「次にどんな夢を描いてチャレンジするんだ?」という事を「山雅ファミリー」と呼ばせて貰っている地域の皆さん、応援して下さる皆さん達に伝えなければいけないタイミングだと思い 「山雅ドリームサミット」という形で関係者を巻き込んで検討会議をさせていただき、「松本山雅ドリームビジョン」と題し次なる夢を大ききく3つ作っています。
①「人づくり」に貢献する 育成ビジョン
地域の子供達、人材をしっかりクラブとして育てていこう。その上でプロ選手の輩出を目指す。
②「まちづくり」に貢献する ホームタウンビジョン
地域に応援されるクラブとして、松本山雅は地域に何が出来るのかをさらに追及。 地域には様々な課題がありますが、スポーツクラブの活動を通して解決できる事が無いかを真摯に追求する。
松本山雅としてはこれだけ地域の熱い熱で支えられているクラブとしてはもっと地域に大きなインパクトを残す事業をしたいと思っています。
③「未来づくり」に貢献する スタジアムビジョン
アルウィンを改修、よりホスピタリティな来る方が観戦しやすい環境を作る。
更なる夢として「信州ドリームパーク(仮称)」新しい多機能、複合型のスタジアムを目指す。
次の夢を明確に謳っているというのが現在の松本山雅の状況です。
ドリームビジョンの概要、映像はこちら
https://www.yamaga-fc.com/club-info/dreamvision
※山雅ドリームビジョンイメージ映像も必見です。是非ご覧下さい。
■Jリーグの百年構想
もう少し、夢を膨らませると、Jリーグにも「百年構想」という大きな夢があります。
「スポーツでもっと幸せな国へ」というスローガンを掲げ、Jリーグ自体も活動しています。
そんな中で松本山雅もJクラブという所属を通して、松本の街に知って貰える様になって大勢の方に応援して貰って、
次は街と共に成長できたら良いねと言うビジョンがドリームビジョンに含まれています。
クラブがどんな夢を描いているのか、応援してくれる皆さんにも是非伝えよう―と、そういう事を示すことが応援してくれる方達にとっても夢にもなる。 2004年頃、松本山雅がJリーグを目指すといった時に、本当にJリーグのクラブが出来ると思ったのはごく僅かだったと思います。 ただ、そういう夢を語った事によってクラブの成長があったという事を考えると、自分達がやっている活動を皆さんに透明性をもって伝えていくという事は 応援して貰うクラブや企業や成長しするパワーに、エネルギーになっていくのではないかと思います。 温故知新というキーワードで松本山雅の歴史を振り返った時に非常強く感じ、次の未来に繋げなければいけない事だと感じています。
松本山雅はひとつの成長を機に、ひとつの夢を実現しましたが、これからも松本山雅として進むべき道があり、私どもが活動している会社組織もある。 では働く人間がどういう風なモチベーションをもって働けるかという事を日々考えることが多くあります。
■行動するときの拠り所 ―行動指針―
一昨年ぐらいからクラブ内で働く人間の行動する時の拠り所、事業を企画する時の拠り所となる 「行動指針」を作ったらどうかと思い、社員に向けて何度か話した機会があります。 まだクラブ内でも案の状況で、明文化はこれからです。
クラブがどんな方向に進むのか、正直社員の中でも全て把握出来ている訳ではないと思っていますし、 私も全て伝え切れていないという部分と、何処まで伝えたら良いのかを日々試行錯誤の中でやっています。
全部が全部社員と共有するのは難しい事だと思いつつ、ただ、やっている事はしっかり知ってもらいたいなと思い、 戦略としてどういう事を考えているのかを社内にも社外にも明文化する事、 それに対各事業部がどういう戦略を持って行くかという事を作って行く必要があると思っています。
以下は、現在、標語として提案している行動指針です。
  • One familiy ・・・ お互いの発展を目指そう
  • One up ・・・ 一歩先を歩むクラブを目指そう
  • One and Only ・・・ 唯一無二のクラブを目指そう
チャレンジングな姿勢になってほしいという意味合いで行動指針を案として話しています。
■松本山雅の存在意義(ミッション)
松本松本山雅としては企業理念「未来への夢と感動にチャレンジ」が根底にあります。
企業理念を達成する為の方針「存在意義(ミッション)」も既に持っていました。
「常に勝利を追求するチーム」と言う様なスポーツクラブとしてありがちな内容が書いてあります。
この「存在意義(ミッション)」が少し分り辛いので、図示してクラブ内で考え方を整理しようとしている段階です。
企業理念が中心にあり、 フットボール事業(サッカー)、ホームタウン活動、スポーツクラブ事業、飲食事業など 様々な事業を通して夢、希望、感動を提供し、更に松本山雅を応援する輪を広げるべく それに取り組む会社組織として松本山雅があります。
松本山雅を応援する方の気流に乗って地域が元気になるのではないかと感じます。
地域が元気になると、地域が活性化されて、人づくり、街づくり、未来づくりが促進されるのではないかと。
こういったサイクルを作り出す事によって、街に貢献しているクラブだから応援してみようと 更にクラブへの還元に回ってゆく―。このサイクルをどんどん遠心力を持たせ、回して行くのが今の松本山雅の事業だと思っています。
根底にあるのは、人々の郷土愛に支えられた地域発展。地域と共存しながら事業を拡げて行くというのが松本山雅という存在においては重要だと理解しています。
■「One Soul Management」
サポーターとの共通言語にもなっている「One Soul」というスローガンがあります。
「ひとつになろう」という意味合いの松本山雅として歴史のあるスローガンです。
この「One Soul」経営やクラブで働く人間にとって、ひとつになって働く、共感して一緒に活動するというのは突き詰めれば非常に難しい事だと思います。 サポーターを含めてこの言葉を使っている中で、せめて働く社員がこの「One Soul」の本質を理解しなければ、 応援して戴ける人にも想いが届かないだろうと。 こういった言葉を置いてクラブ内部をマネジメントして行くことが重要だと感じています。
「One Soul Management」を更に落とし込んで行くと、
郷土愛⇒事業⇒利益⇒還元
というサイクルになるかと思っています。
  • 郷土愛に支えられるクラブ
  • サポーターと共に創る事業
  • 地域に支えられ安定した売上
  • 利益を地域に還元、貢献する
事業ですので利益も含め、しっかり拡がっていく物に考えなければいけないと思っています。
こういった案を少しずつ社員に伝え、共感して貰えるようだったら決まり事として作って行きたいと思っています。
■最後に
クラブが今までにやって来た事、現状取り組んでいる事、これからやりたい事をしっかりと整理し、それをまず社内にしっかり伝える事。 関わって下さる企業さん、興味を持って下さる方に「我々がやっている事が見える状況を作る」というのがお互いのモチベーションを育てていくのではないかと思っています。
最近は企業に新入社員が入ってくる時に「理念と共感する」という理由で入ってくる若い方が増えていると聞いています。
業種、収入だけではなく、会社の考え方に共感することがモチベーションとして働くという若い方が増えていると聞きまして、そこにもヒントがあるのではないかと思っています。
本日は松本山雅の現状に沿って私なりの経験談としてお話をさせて戴きました。
私自身もこれから今日この話をした事に責任を持ってクラブの経営に向き合って行きたいと思っています。
まもなくJ1が開幕となります。
まだスタジアムに来た事の無い方、先ほどの映像のような雰囲気が松本山雅にはありますので、騙されたと思って見て頂いて少しでも感動を皆さんと共有できればありがたいと思っております。

──本日はご静聴、ありがとうございました。
以上、「働きがい改革セミナー」第一部 基調講演『未来への夢と感動にチャレンジ』の模様でした。
このセミナーでしか見られない、聞く事が出来ない非常に貴重な松本山雅のお話をお聴きすることが出来ました。
講師の株式会社 松本山雅 神田 文之 様、誠にありがとうございました。
第二部:セミナーその1→